韓国の失業給付(求職給付)の計算方法
2026年に受け取るのだから上限は1日68,100ウォン——韓国の求職給付でいちばん多い誤解です。基準になるのは支給日でも申請日でも受給資格の認定日でもなく、離職日です。2025年12月31日に離職した人は、2026年に受け取っても上限は従来どおり66,000ウォンで、下限も2025年の最低賃金で計算されます。退職日が1日ずれるだけで総額が変わります。この記事は日本の雇用保険ではなく、韓国の雇用保険法にもとづく求職給付(韓国で一般に실업급여と呼ばれる給付)の説明です。
計算は4段階で終わります
第1段階は平均賃金日額です。離職前3か月に支払われた賃金総額を、その3か月の実日数で割ります。雇用保険法第45条第1項が、勤労基準法上の平均賃金を基礎日額とすると定めています。割る数は一律90日ではなく実際の暦日数(多くは89〜92日)である点を見落としがちです。上の計算機も、離職日から3か月さかのぼった日から離職日までの実日数を使っています。
第2段階はそこに60%を掛けます(第46条第1項第1号)。3か月の賃金総額が1,200万ウォン、対象期間が92日なら、平均賃金日額は130,434ウォン、60%を掛けて78,260ウォンです。
第3段階が上限と下限による切り取りです。上の78,260ウォンは2026年の上限68,100ウォンを超えるため、68,100ウォンまで下げられます。逆に下限に届かない場合は下限額まで引き上げられます。実際にはこの段階で金額が決まる人がほとんどで、第1・第2段階の計算が結果に影響しないことも珍しくありません。
第4段階は所定給付日数を掛けます。離職日時点の満年齢と雇用保険の被保険期間に応じて120日から270日の間で決まります。なお平均賃金が通常賃金を下回る場合は通常賃金を基礎日額とします(第45条第2項)。上の計算機は賃金総額から計算するため、この比較は自分で確認する必要があります。
上限も下限も年齢も、すべて離職日基準
適用される上限額は、離職した日に効力があった規定です。施行令改正の附則には、改正前に離職した人には従前の規定を適用するという経過措置が置かれています。離職日が2026年1月1日以降なら68,100ウォン、2019年1月1日から2025年12月31日までなら66,000ウォン、2018年の離職は60,000ウォン、2017年4〜12月の離職は50,000ウォンです。66,000ウォンから68,100ウォンへの引き上げは6年ぶりでした。
下限も同じ考え方です。雇用保険法第45条第4項は最低基礎日額を「離職前の1日の所定労働時間に、離職日当時に適用されていた最低賃金額を掛けた金額」と定義しています。2025年12月に離職すれば2025年の最低賃金10,030ウォン、翌日の2026年1月1日に離職すれば10,320ウォンで計算されます。
年齢も申請日ではなく離職日時点の満年齢です。雇用保険法別表1の見出しが「離職日現在の年齢」となっています。退職から申請までの間に誕生日が来ても変わりません。
2019年10月1日施行の改正も離職日が基準でした。この改正で給付率が平均賃金の50%から60%へ、所定給付日数が90〜240日から120〜270日へ、下限額の係数が最低賃金の90%から80%へ変わりました。ネット上には今も「下限は最低賃金の90%」と書かれた古い解説が残っていますが、2019年10月1日以降の離職者には80%が適用されます。
2026年、下限が上限に追いつきました
2026年の上限額引き上げは、給付を手厚くする措置ではなく、計算式の逆転を防ぐための技術的な調整でした。
2026年の最低賃金が時給10,320ウォンになったことで、下限額が10,320ウォン × 8時間 × 80% = 66,048ウォンになりました。6年間66,000ウォンに据え置かれていた上限額を48ウォン超えてしまったのです。下限が上限を上回る矛盾を解消するため、基礎日額の上限を110,000ウォンから113,500ウォンへ引き上げ、これに60%を掛けた68,100ウォンが新しい上限額になりました。2025年12月16日の国務会議で議決され、2026年1月1日から施行されています。
その結果、2026年の上限と下限の差は1日あたり2,052ウォン、率にして3.1%と過去最も狭くなりました。下限を抜けるには基礎日額が66,048 ÷ 0.6 = 110,080ウォンを超える必要があり、これは月給にしておよそ335万ウォンの水準です。上限がかかる113,500ウォンは月給約345万ウォンです。所得によって給付額が変わる区間は、月給ベースで10万ウォンほどしかありません。
月給250万ウォンだった人と800万ウォンだった人の失業給付が実質的に同じ、ということです。所得比例の保険として設計された求職給付が、事実上の定額給付に収束したと指摘される理由がここにあります。
賃金総額と1日の給付額(2026年離職・92日)
3か月の賃金総額1,200万ウォンなら、1,200万 ÷ 92 = 130,434ウォン、60%で78,260ウォン、上限を超えるので68,100ウォンです。
950万ウォン(月約316万ウォン)なら103,260ウォン、60%で61,956ウォン、下限に届かないので66,048ウォンです。
750万ウォン(月250万ウォン)なら81,521ウォン、60%で48,913ウォン、これも下限に届かないので66,048ウォンです。
後の2人は月給が66万ウォン以上違うのに、1日の給付額はまったく同じです。ここに所定給付日数を掛けたものが総額になります。2026年離職の最大は68,100ウォン × 270日 = 18,387,000ウォン、最小は66,048ウォン × 120日 = 7,925,760ウォンです。
所定給付日数は勤続年数ではなく被保険期間
最も誤解されやすい点です。表に入れるのは現在の勤務先の勤続年数ではなく、雇用保険の被保険期間です。複数の勤務先の加入期間を通算できますが、過去に求職給付を受けたことがある場合、その受給資格に関わる離職日より前の期間は除かれます。雇用保険に加入していなかった期間は算入されません。韓国で就労する外国人も、加入義務のある在留資格であれば同じように被保険期間が積み上がります。
270日を受けるには、離職日時点で満50歳以上かつ被保険期間10年以上である必要があります。50歳以上でも被保険期間が1年未満なら120日で、50歳未満と変わりません。障害者雇用促進および職業リハビリテーション法第2条第1号の障害者は、年齢に関係なく50歳以上の行が適用されます。
そもそも受給資格が前提です。雇用保険法第40条は、離職前18か月間に被保険単位期間が通算180日以上あること、および非自発的離職などの要件を定めています。自己都合退職でも、施行規則別表2の「受給資格が制限されない正当な離職事由」(賃金未払い、事業場の移転による通勤困難、疾病、職場内いじめなど)に該当すれば受給できます。
日程も重要です。7日間の待機期間は離職日ではなく、失業の申告日(受給資格の申請日)から起算され、その間は支給されません(第49条)。そして受給期間は離職日の翌日から12か月で固定です(第48条)。所定給付日数が残っていても12か月が過ぎれば残日数は消滅します。退職後に数か月放置してから申請すると、計算機が表示する総額をすべて受け取ることはできません。
見積もりが実際とずれるところ
最も大きくずれるのは1日の所定労働時間です。下限額は施行規則第91条の2にもとづいて算定した1日の所定労働時間に比例し、8時間はその上限であって全員に当てはまる固定値ではありません。1日4時間と算定される短時間労働者なら、2026年の下限額は10,320 × 4 × 80% = 33,024ウォンで半分になります。所定労働時間を8時間に固定しているオンライン計算機は、パートタイム勤務者の金額を最大で2倍に見せてしまいます。
受給資格がなければ日数の表そのものに意味がありません。被保険期間を1か月と入力してもどの計算機も120日分の金額を返しますが、離職前18か月間に被保険単位期間180日を満たしていなければ受給できません。離職事由の要件も別途審査されます。
申請が遅れると総額が減ります。画面に出る終了予定日は、多くの場合「離職の翌日にすぐ申請した」という前提で計算された値です。実際には7日間の待機期間は失業の申告日から始まり、受給期間12か月という別の壁もあります。
古い離職日には別の法律が適用されます。2019年10月1日より前の離職は給付率50%、下限係数90%、所定給付日数90〜240日という旧ルールでした。ただし離職から12か月を過ぎると受給自体ができないため、実務でこのルールが必要になることはほとんどありません。
制度改正の予定は反映されていません。反復受給者の給付を減額する案、および求職給付の算定基準を離職前3か月の平均賃金から離職日前1年の報酬に変更する雇用保険の所得基盤改編案は、いずれも推進中の案件です。現行の雇用保険法第45条第1項は依然として3か月平均賃金を基準としているため、今の時点では上の計算式が正しい計算式です。
この計算結果は目安です。実際の受給資格と支給額は管轄の雇用センターの審査で確定するため、韓国雇用労働部の雇用センターまたは雇用保険の公式案内で必ず確認してください。政府の案内ページでも更新が遅れて古い上限額・下限額が残っていることがあるので、金額と一緒に更新時点も確認してください。
3か月賃金総額別の1日の給付額(2026年離職・92日・所定労働8時間)| 3か月の賃金総額 | 60%後の額 → 実際の1日の給付額 |
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| 750万ウォン(月250万) | 48,913 → 下限適用 66,048ウォン |
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| 950万ウォン(月約316万) | 61,956 → 下限適用 66,048ウォン |
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| 約1,013万ウォン(基礎日額110,080超) | 66,065ウォン(下限をわずかに上回る) |
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| 約1,044万ウォン(基礎日額113,500) | 68,086ウォン(上限の直前) |
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| 1,200万ウォン | 78,260 → 上限適用 68,100ウォン |
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よくある質問
- 2026年の求職給付の上限額と下限額はいくらですか。
- 上限は1日68,100ウォン、下限は1日66,048ウォンです。上限は基礎日額の上限113,500ウォンに60%を掛けた額、下限は2026年の最低賃金10,320ウォン × 8時間 × 80%です。いずれも離職日が2026年1月1日以降の場合に適用されます。
- 2025年12月に離職して2026年に受給する場合、どちらの上限が適用されますか。
- 2025年の基準です。上限は1日66,000ウォン、下限は2025年の最低賃金10,030ウォンで計算した64,192ウォンになります。改正施行令の経過措置と雇用保険法第45条第4項の「離職日当時」という文言により、どちらも離職日で固定されるためです。1日ずれて2026年1月1日離職なら68,100ウォンと66,048ウォンでした。
- 最大でいくら受け取れますか。
- 2026年離職なら68,100ウォン × 270日 = 18,387,000ウォンが最大、66,048ウォン × 120日 = 7,925,760ウォンが最小です。30日換算の月額でみると上限2,043,000ウォン、下限1,981,440ウォンになります。
- 退職後、いつまでに申請すればよいですか。
- 受給期間は離職日の翌日から12か月で固定されており、その時点で残っている所定給付日数は消滅します。7日間の待機期間も離職日ではなく失業の申告日から起算されるため、申請が遅れれば初回支給も同じだけ遅れます。離職票などの書類がそろい次第、すぐに申請してください。
- 自己都合退職でも受給できますか。
- 原則は制限されますが例外があります。雇用保険法施行規則別表2に定める「受給資格が制限されない正当な離職事由」に該当すれば受給できます。賃金未払い、事業場の移転による通勤困難、疾病、職場内いじめなどが含まれます。証明資料が必要なので、退職前に管轄の雇用センターへ相談するのが確実です。
- パートタイム勤務でも下限額は66,048ウォンですか。
- いいえ。下限額は1日の所定労働時間に比例し、8時間が上限です。1日4時間と算定されるなら2026年の下限額は10,320 × 4 × 80% = 33,024ウォンです。所定労働時間を8時間として計算された金額は、短時間労働者にはそのまま当てはまりません。